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PC Engines APU2

PC Engines APU2はPC Engines社から販売されていた、シングルボードコンピュータ(SBC)です。 過去においてルータ用途として人気がありました。 2025年現在は販売が終了しており、新規調達はできません。

ルータ用途としてみるとCPUが力不足なところがあります。 DNSサーバやNTPサーバといったネットワークアプライアンスとしての用途が考えられます。 特にNTPサーバは基幹システムの外部に独立したハードウェアとして実装することが望まれることが多く、 APU2のような小型のコンピュータが活躍できます。

用途にもよりますがAPU2とラズパイは比較対象になりえます。 消費電力という観点からはラズパイのほうが優位でしょう。 電源供給を含めた完成度という観点からはAPU2に軍配が上がります。 NetBSDをインストールして利用するという前提を置くなら、 CPUがARMなのかx86なのかは些細な問題です。

特徴

PC Engines APU2は次の特徴があります。

パフォーマンス

NetBSD 10 をインストールしたAPU2からAPU2に対してiperf3でベンチマークした結果です。 だいたい 570Mbps 相当であることがわかります。

[ ID] Interval           Transfer     Bitrate         Retr
(略)
[SUM]   0.00-10.02  sec   687 MBytes   575 Mbits/sec    0             sender
[SUM]   0.00-10.02  sec   687 MBytes   575 Mbits/sec                  receiver

この性能では 1Gbps リンクのルータ機能を任せるのは無理でしょう。 ルーティングするなら NetBSD ではなく VyOS (Linux) を採用しましょう。

mSATAの構成

mSATAモジュールは衰退した規格になっています。 私のところでは主に64GB品を使っています。 OS領域に50GiBほど割り当てることができます。 DNS, NTP, HTTPなど些細なサーバを建てるにはこれで十分です。

Zabbix等のデータベースを必要とするサーバを建てる場合を考えると50GiBでは容量が不足します。 個人宅でZabbixを建てる向きには 256GB (238GiB) のmSATAモジュールが2025年現在まだ入手できます。 これならば足りるかもしれません。 業務でZabbixを建てるならAPU2は避けたほうが良いでしょう。

ランニングコスト

定格でおおよそ12Wなのでこれで見積もりますと、 APU2で掛かる電気は12W * 24h/d * 31d = 8928Whです。 電力単価45円(税込)で試算すると約400円/月程度となります。


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